玄関横にある曇りガラスの交換って大変そう

frosted_glassもう梅雨明けが見えてきて、夏休みが目の前に迫ってきたこの時期、僕ら陸上部の面々は毎日の走り込みが暑さで段々キツくなってきたことで、季節の移り変わりを肌で感じ取ります。梅雨時は暑さはさほどないのですが、湿気がジメジメと肌表面にまとわりつくような感覚があって不快なのですが、夏休み前になるとこれが変化します。湿気はあまり感じなくなりますが、今度は太陽の光が刺すように肌に感じられ、「あぁ、走り終わったら頭から水道の水を被りたい」と思うようになるのです。
それに何だかんだで夏休み、僕らのような高校生の身の上ではどうしても浮かれずにはいられません。今も部活帰りに僕の家で涼みながら、子供のころから一緒の、隣の家に住んでいる幼馴染と、海に遊びに出かける計画を立てているところです。

ですが、例年なら僕よりもはしゃいでいる彼女が、今日に限ってはあまり元気がありません。「どうしたの?」と聞いてみると、何と彼女が「自宅玄関の曇りガラスを割っちゃった」とのこと。実際、隣の彼女の玄関をそーっと見てみると、確かに横の曇りガラスにひびが入り、一部は完全に欠けています。
どうも部活の朝練に出発するとき、眠くて足元がおぼつかず、玄関内でこけてしまって曇りガラスにぶつかったらしいのですが、幼馴染は母親から「弁償しなさい」と言われたらしく、それで元気がないようです。「きっと、あの曇りガラスの交換って大変だよね。弁償って、どれくらいお金いるのかなぁ」と、ちょっと泣きそうな顔で落ち込んでいます。
それを見て僕は、「このままではいけない」と、ある決心を心の内で密かに固めたのです。